きみの好きなところを数えたら朝になった。
「あれが許されるのが可愛い子の特権だよ。だから澪をあんな感じで男子に甘えたりすれば一発だよ」
「いやいや、私はムリ……!」
「きゃー」とかあんな可愛い声出ないし、男子の後ろに隠れるとかできない。むしろドッジボールとか燃えるほうだから率先して潰しにいっちゃうと思う。
「それでも甘えたり媚びたりしなくても先輩は澪が好きってことでしょ?いい男だと思うけどなあ。むしろ完璧すぎるぐらい?」
「………」
そんなことは分かっている。私には勿体ないぐらい先輩は良い人だし、断ったらバチが当たるってことも。でも……。
「おーい!雨宮ー!」
ぼんやりと窓のフチに頬杖をついていたら突然下から声をかけられた。それは高らかとボールを左右に揺らして、まるで私に手を振ってるかのような西崎の姿。
しかも名前を呼ばれたことで西崎の友達が一斉に2階を見ていて、すごく気まずい。
「なあ、一緒にドッジやらね?」
西崎の声はやたらと響く。
……というかなんで私を誘うのかな。
横を通りすぎたならまだしも中庭からこの教室までけっこう遠いし、声をかけると宣言されたけど、まさかこんな目立つ声のかけ方をされるなんて想定外というか……。