きみの好きなところを数えたら朝になった。
「澪(みお)どうしたんだ。大きな声だして」
ふたりがビックリしたような表情で私を見上げているけど、ビックリを通り越して呆れているのは私のほう。
「お父さん!乾杯じゃないよ!なに考えてんの?」
「あ、だよね。火事で大変なのに不謹慎だったね。ごめん」
「じゃなくて!」
さらに声のボリュームが上がって、気持ちよく酔っぱらっているお父さんにも伝わるぐらいの熱量で。
「なんで西崎のこと受け入れてるの?ダメでしょ!」
あのあとお父さんが仕事から帰ってきて西崎はことの経由を私に話したようにお父さんにも説明した。
「それでもうちはちょっと」という言葉を期待してたのに、西崎の歓迎パーティーのようなものが行われている悲しい現実がちょっと私には直視できない。
「暫く居候するぐらいいいじゃないか。部屋はたくさん空いてるんだし、柊也くんは良い子だし」
「お父さん、それ本気で言ってる?」
「もちろん!こういうのは助け合いが大切だよ。柊也くんの家族にはお世話になった経験があるし、困ってる時こそ力を合わせなきゃいけないよ」
「………」
「それにほら、柊也くんと澪は〝幼なじみ〟なんだし」
……でた。私の封印してた言葉。