きみの好きなところを数えたら朝になった。


【着信 須藤先輩】

ティーポットをどうしようかあたふたしているとガチャリと西崎の部屋のドアが開く。


「雨宮、飲み物ありがとう……って、電話?」

「う、うん。これ桃香ちゃんと飲んで」

ドアの向こう側では桃香ちゃんが床にちょこんと座っていて別に怪しげな痕跡はない。どうやら私が色々深読みしすぎてしまったらしい。

急に恥ずかしくなって紅茶を西崎に預けると、
そのまま逃げるように階段をかけ降りた。


『はい』

ずっと鳴り続けていた電話に出ると先輩の優しい声が耳元で響く。


『澪ちゃん、今大丈夫?』

何故かホッとしたような気持ちになってソワソワしていた心が落ち着いた。


『はい。すいません、すぐに出られなくて』

『ううん。それは全然いいんだけど、もし良かったらちょっと外に出てこれない?たまたま用事があって澪ちゃんの家の近くにいるんだけど』

少し迷って、でも2階からまたふたりの楽しそうな声が聞こえてきたから私は先輩と会うことにした。
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