きみの好きなところを数えたら朝になった。


***


待ち合わせしたのは近くの公園。すでに先輩はベンチに座っていて目が合うと小さく手を振った。


「ごめんね。急に呼び出して」

「いえ、大丈夫です……!」


自然に私もベンチに座ってしまったけど、二人用の小さいやつだから思いのほか距離が近い。

そういえば先輩の私服姿って初めて見たかも。
いつもは放課後に遊びにいくだけだし休日に会っているのが不思議なくらいだけど、タイミングよく誘ってもらえてよかったと思ってる自分もいる。

だってあのまま家にいても気まずいだけだし、
きっと今頃ふたりは……。


「なんか元気ないね」

気づけば先輩が心配そうに私の顔を覗きこんでいた。


「そ、そうですか?」

あはは、と不自然に誤魔化してしまった。

……元気がない?私が?そんなはずない。ただ少し気疲れしたっていうか、リア充なふたりを見て呆れてしまったっていうか……。


「俺の勘違いならいいんだ。それにしても休日に会うってヘンな感じだね。まあ、呼び出したのは俺なんだけど」

先輩の柔らかい顔を見ると胸がチクリと痛む。
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