きみの好きなところを数えたら朝になった。
私のことは嫌いじゃないだろうし、彼女が欲しいとか言ってるし、じゃあ大丈夫なんじゃないかって、幼すぎたバカな期待。
思えば西崎の好きなタイプは私とは真逆。あの時一緒に帰ってた女の子もそういえば守ってあげたくなるようなふわふわとした女の子で。
桃香ちゃんなんて西崎のドストライクなタイプだ。
冷静に考えればアイツが私を受け入れるはずもなくて、だったら苦しいだけだなって。
別に私だって西崎のことはタイプでもなんでもないし、むしろ嫌いなタイプを挙げたら全部西崎に当てはまるぐらい。
それなのに恋が芽生えそうになったから、私から西崎を遠ざけた。
名前呼びをやめた。
もう名前で呼ばないでって言った。
もう家に出入りしないと宣言した。
用事以外は話しかけないでって約束した。
そしたら本当に西崎が遠くなった。
幼なじみって関係で繋がっていたものが消えた。気持ちがラクになった。なのに心にぽっかりと穴があいた。
それを埋めるために友達とか勉強とか私生活を充実させて、別に西崎がいなくても当たり前の日常が送れるようになってた。
それなのに……。
――『お前の家、貸してくんない?』
なんで今さら、私の領域に踏み込んできたの?