きみの好きなところを数えたら朝になった。
寝不足で頭がクラクラする。しかもこんな時に限って体育はマラソンでさらに最悪。
でも体育の先生は厳しいし、とくにマラソンになるとみんなサボりたがるからこの授業を見学しても、どうせ別の日に同じ距離を走らされる。
ひとりで外周するぐらいなら、せっちゃんと話ながら走ったほうがまだツラくない。
ピピーというホイッスルで校庭に整列させられた私たちは体育座りをしながら先生の話を聞いていた。
「今日はしっかりタイムをはかるからな!平均タイムよりも下回らないようにちゃんと走るように」
外周は約2.5kmある。同じ景色を見ながらのグラウンドよりラクに感じるけど、体調が悪い日のマラソンほど苦しいものはない。
先生が話している最中に5組の男子が雑談で注意されていて、その中には西崎もいた。
今はその顔を見る余裕もないけど。
「澪、本当に大丈夫?今からでも見学したら?」
そのあとスタートラインに立って私とせっちゃんは最後の列にいた。
「平気。頑張って走るよ」
「ムリしないでね。私もゆっくり走るから」
「ありがとう」
せっちゃんの優しさに感謝しながら先生がピーッとスタートの合図をした。