きみの好きなところを数えたら朝になった。
「……もう、早くさっさと先に行ってよ。隣に並ばれたら走りにくい」
私は西崎を冷たくあしらって不機嫌に追い払った。
「西崎となんかあったの?」
鋭いせっちゃんがなにか勘づいたみたいだったけど、私はそれさえも答えなかった。
別になにもない。なにかあるわけない。
これは完全に私の気持ちの問題。
それからなんとかせっちゃんに励まされながら2.5kmを走りきって平均タイムは駆け込みでギリギリ下回ることはなかった。
「ハア……せっちゃん、ありがとう」
私はゴールしたあと立つことができずに座りこんでしまった。
「ううん。それより血の気が引いてるけど大丈夫?」
「……少し休めば大丈夫」
体力にはそれなりに自信があったけど今日のマラソンはヤバかった。途中で何度も足を止めてせっちゃん迷惑をかけてしまった。
そのあとまた校庭に整列させられて体育の授業はそこで終わった。
みんな教室には戻らずに食堂前の自販機へと直行で、もちろん私たちも。コンクリートの上を歩く足がおぼつかない。
授業を乗りきった安心感で余計に力が入らなくなってきた。フラッと身体が後ろに倒れそうになって、その瞬間ガシッと誰かに肩を支えられた。