きみの好きなところを数えたら朝になった。
「マジでお前、保健室に行けって」
それは西崎だった。
こっちが青い顔してるっていうのに西崎はマラソン後とは思えないほど爽やかな顔をしていた。
……掴まれた肩が熱い。
西崎の手がこんなに大きかったことも私は知らない。
「……別にアンタに関係ない」
私はその手を勢いよく払いのけた。さすがにムッとしたのか西崎が怖い顔をして私に詰め寄る。
「は?関係ないとか今はそんなこと言ってる場合じゃなくて足元ふらふらだし、あぶねーから保健室に行けって言ってんだよ」
西崎の声がでかすぎて、みんながこっちを見てる。
イライラする。なにに対してのイライラかなんて私にも分からない。
「顔もこんなに青いしさ」
そしてまた西崎の手が私に伸びてきて、顔を触られる寸前で「……触らないでよ!」と〝らしくない〟声を出してしまった。