きみの好きなところを数えたら朝になった。
夢の中で私は誰かに抱き抱えられていた。
熱くて、優しくて、大きな手。それに溺れてもいいと思うぐらい心地いい揺れ。
ねえ、西崎。
アンタは昔から私に躊躇なく触れるね。
あいつは距離感がないように見えてすごく距離感に対して敏感だ。自分に好意がある人、いいなって思われてそうな人にはちゃんとこれ以上はダメだよって一線を引く。
彼女がいるから余計に。
つまり私は西崎にとって自分のことを好きにならない人っていう安全のカテゴリーに入れられた女子のひとり。
だからあいつは私に触る。
西崎への気持ちなんて一瞬の気の迷いで、離れれば自然に消えていくと思っていた。
甘かったね、悔しいよ。
「み……お、澪……!」
ハッと気づくと、せっちゃんが泣きそうな顔で私のことを見ていた。