きみの好きなところを数えたら朝になった。
せっちゃんに言われて夢の出来事と現実を繋ぎ合わせてみた。
たしかに私は誰かに抱き抱えられていた。その熱くて力強い腕の感触がまだ残ってる。
……そっか。先輩が運んでくれたのか。
何故か自分の瞳からポロポロと涙が溢れた。
「え、み、澪?どうしたの?どこか痛いの!?」
そんな私を見てせっちゃんが慌てていた。
どこも痛くないし、体調も眠ったおかげで回復した。それなのにどうしてか涙がとまらない。
「……せっちゃん、私おかしいよ……」
「おかしいって?」
「私、目が覚めるまでずっと西崎に助けられたと思ってた」
夢の中でも意識が遠退く前も、私の頭の中には西崎しかいない。
どうして、なんて聞かなくても分かる。
こんなのは今に始まったことじゃない。西崎を遠ざけてた間も他人のように素通りしていたあの頃も、私の心の中にはいつだって西崎がいた。