きみの好きなところを数えたら朝になった。
気づいてないふり、なんて、そんなの気づいてるってことと同じで。だから関心がないふりもそれは関心があることと同じ。
せっちゃんの言うとおり私は西崎への関心を捨てきれなかった。アイツがふざけて友達とバカ騒ぎしてる時も西崎の声だけがやたらと耳に響いてくるのもそのせいだと思う。
「で、澪はどうしたいの?」
「どうしたいって……?」
「西崎に気持ちを伝えないの?」
カランとアイスティーの氷が崩れた。この間から色々と不安定になっていたけど、この質問だけには冷静になれる。
「言わないよ。言うわけない」
言ったところで4年前のように流されることは分かってる。それに西崎には桃香ちゃんがいるし、私が入り込む隙なんてない。
だから言わない。この気持ちだけは絶対に。
「じゃあ、須藤先輩のことはどうするの?」
そういえば保健室まで運んでもらったお礼をまだしてない。あれから体調を気遣うメールも何度か送ってくれたのにどんな反応をしていいのか分からなくて返せずにいた。
「……先輩にはちゃんと付き合えないって言うよ」
こんな気持ちを抱えたまま中途半端にはしたくない。先輩は優しい人だから余計に心苦しくなる。