きみの好きなところを数えたら朝になった。
「先輩と付き合ってみて変わるものがあるかもしれないよ?」
「そんな試すようなことできないよ……!」
「まあ、それもそうだよね。ちゃんと言うなら早いほうがいいかもね。先輩も期待しちゃうだろうし」
「……うん」
私の人生で先輩のような素敵な人に好かれることなんてもうないかもしれない。それでもやっぱり心が動かない。
理屈じゃないからこそ、恋愛は難しい。
そのあとパスタ屋を出て、せっちゃんの買い物の続きをすることになった。洋服も小物も欲しくてこんな時でさえ物欲はとまらない。
「ねえ澪。見て見て。この腕時計可愛くない?」
「わあ!本当だ!めっちゃ可愛い!」
雑貨屋で見つけた値段もお手頃な時計はホワイトとブラウンの2色があって、せっちゃんとおそろいで買おうとテンションが上がってる中、私のスマホが鳴った。
表示された名前を見て、ドキッとした気持ちとは裏腹に私の声は不自然に素っ気なくなる。
『なに?』
電話に出るとスピーカーから西崎の声がした。