やっぱりあなただけ
「そうだったんだ。ありがとう。」
私は、雄介の表情で次に言われる言葉が分かってしまった。
「でも、ごめんなさい。」
予感は的中した。
「どう………して?」
聞かずにはいられなかった。
「半年前から付き合っている人がいる。相手から告白された。」
他にも聞きたいことは山ほどあったけれど、今の私には聞く勇気がなかった。聞きたくもなかった。全部夢であればいいのにと強く願った。
「そっか……そうなんだ。」
私には、そう応えるのがやっとだった。
しばらく無言が続いた。どれくらいだったのかは、全然分からない。
「ごめん、俺そろそろバイトだから。」
「あ、ごめん。長居しちゃったね。」
玄関まで見送られ、私はゆっくりと靴を履いた。
「あのさ…俺が言えた話じゃないと思うけど…小絵の今の気持ち知れて良かった。会いに来てくれてありがとう。」
一気に目頭が熱くなった。でも絶対に雄介の前では泣きたくない。必死に涙が出てこないように目に力を入れる。
「こちらこそ、気持ち言えてよかった。ありがとう。……じゃあ、さようなら。」
「………さようなら。」
私はゆっくりとドアを閉めた。