わたしと反抗期の野良猫たち

8月20日

___8月20日、曇り。
「さゆみ。」
「何?」
海が私に問う。
「そう言えば、何であの時あんなことしてたんだ?」
「…あぁ、あれか。」
「夏なんて嫌いだーって叫んでた。」
「わぁぁぁ!!蓮!言わなくていい!!」
「何か嫌なことでもあった?」
雷が問う。
「んーそういうんじゃないんだけど…」
「「「?」」」
「実はね、夏休みの宿題の読書感想文を書くのに、図書室に本を借りに行ったんだ。だけど…」
「だけど?」
「…なかなか良いのがなくて借りれなかったの。」
「ふーん、それで?」
「何が?」
「いや、それでどうしたんだよ?」
「え、それだけだよ?」
「「「…エッ!?それだけッ!?」」」
「うん。」
「そんな理由かよ…」
「失敬な、大問題だよ!読書感想文とは本の内容の感想を書くんだよ。気に入った本を読んで、感じた気持ちを書かないと読書感想文の意味がないんだよ!!」
「そ、そうか…。」
「はぁ…他のはもう終わってるのに。早く見つけないと終われないよ。」
「…ジャンルは何でもいいのか?」
蓮が問う。
「うん。気に入れば1日で読んで書き終わるよ!」
「すごい!」
「まぁねー♪」
「じゃあこれなんかどうだ?」
「?」
蓮はさっきまで読んでいた本をパタンと閉じ私に渡した。『星』というタイトルが書かれた本だった。
「どんなの?」
「……星。」
「うん、それはタイトルを見たら分かるよ。」
「……説明しづらい。」
「ダメじゃん。」
「でも引き込まれる。」
「そうなの?」
「あぁ。」
「…ふーん、じゃあ読んでみようかな!蓮、読んでる途中だったけど本当に借りてもいいの?」
「構わない。」
「分かった。じゃあお言葉に甘えて借りさせてもらうね!!」
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