あなたしか愛せない
「今年度から体育を担当します、有岡 皐月です。よろしくお願いします」
入学式の後に行われた先生の挨拶。
本当に皐月お兄ちゃんがいる…
他の先生と一緒に檀上に立つ、皐月お兄ちゃん。
一緒に学校生活を送れる!!って大喜びのはずだったのにー…
あの言葉が…
¨結婚することになったから¨
「はぁー」
背が高くてカッコ良い皐月お兄ちゃんに似合う女になるように、美人になる努力をしてきたのに…
「溜め息ついてどうした?」
「!」
隣に座っている男子生徒が話しかけてきた。
「え…いや…疲れたなぁって思って」
皐月お兄ちゃんのことは言っちゃいけない。
「同じく。俺も疲れたなぁって思ってたとこ」
話し掛けてきた男子生徒は入学式なのに金髪で、ネクタイもゆるゆる。
どう見ても、ヤンキー。
苦手だな…
「抜けだそうか?」
「え?」
「行こう」
そう言うと席から立ち上がった男子生徒に腕を掴まれる。
え…え…
「こ…こら!!そこ!!!どこ行く!?」
えー!!!???