私が君にあげたいものは。
他愛の無い話をしながら、食べ進める。



カチャンッ


「「ごちそうさまでした。」」


私と直哉はそれぞれ用意をする。

私は家事を、直哉は仕事を。


カチャカチャと、洗い物をしているとり


「行ってくるね。」


貴方は、今日のことは知らないのだろうか。


…………………………抜けてる“君”だから、しょうがないんだろうなぁ。


少し付き合ってた頃の思い出に浸ってると。


「……大丈夫?春歌。」


ひょっこりと、こちらの顔を覗いてくる。


「っ!恥ずかしいでしょ、そんなことしたら。何でも、無いわよ?」


クスリ、と笑う。


「そ?じゃあ、行ってくるね。」

「…………うん、行ってらっしゃい。」


寂しい。だけど、引き止めちゃダメなんだもの。


いつも寂しいって思うけど、今日はいつもよりか増して、寂しいの。


ねぇ、行かないで?
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