ブーケ・リハーサル
枕もとに置いてあるスマホの画面に触れる。画面には“23:57:28”と表示されていた。
今日も今日のうちに眠れなかったな。
一秒ずつ進む時間をただ眺める。そして“23:59:00”になったとき、電話を掛けた。
スマホから女性の声が流れる。
『午後十一時五十九分三〇秒をお知らせします。午後十一時五十九分四〇秒をお知らせします』
ただ単調にカウントされる時報に耳を傾ける。そして日付が変わる瞬間を耳にする。
『午前零時ちょうどをお知らせします』
ピーンという音が零時だということを伝えた。
一人でなにをしているのだろうと思う。ただ日付が変わる瞬間、一人になりたくない。そう思って、深く考えず時報を聞いた。それが癖になった。
通話を切り、スマホを枕元に置く。明日は上手く眠れますように。そう思って、もう一度目をつぶった。
目覚ましの音で、重い体を起こした。寝不足とまではいかないが、すっきりとした感覚もない。鈍い疲れが少しずつ溜まっているような感覚。日常に支障がないから、あまり気にしないようにしている。
そんな感覚を地味に引きずりながら、会社に向かう。
「おはようございます」
秘書課に入ると、昨日は会うことのできなかった松井さんがいた。
今日も今日のうちに眠れなかったな。
一秒ずつ進む時間をただ眺める。そして“23:59:00”になったとき、電話を掛けた。
スマホから女性の声が流れる。
『午後十一時五十九分三〇秒をお知らせします。午後十一時五十九分四〇秒をお知らせします』
ただ単調にカウントされる時報に耳を傾ける。そして日付が変わる瞬間を耳にする。
『午前零時ちょうどをお知らせします』
ピーンという音が零時だということを伝えた。
一人でなにをしているのだろうと思う。ただ日付が変わる瞬間、一人になりたくない。そう思って、深く考えず時報を聞いた。それが癖になった。
通話を切り、スマホを枕元に置く。明日は上手く眠れますように。そう思って、もう一度目をつぶった。
目覚ましの音で、重い体を起こした。寝不足とまではいかないが、すっきりとした感覚もない。鈍い疲れが少しずつ溜まっているような感覚。日常に支障がないから、あまり気にしないようにしている。
そんな感覚を地味に引きずりながら、会社に向かう。
「おはようございます」
秘書課に入ると、昨日は会うことのできなかった松井さんがいた。