ブーケ・リハーサル
秘書という仕事は人のことをどれだけ知っているか、見ているかが重要だと、その資料に言われているような気がしたからだ。
手帳を閉じ、給湯室へと向かった。コップやお菓子の場所を確認するためだ。慣れない場所でお茶を入れると、意外と失敗する。これは私の教訓だ。使い慣れていない台所ほど、面倒なものはないと思う。
冷蔵庫の中、コップ類、ストローやおしぼり、お菓子の賞味期限などをチェックした。グラスが有名な食器メーカーのものだったり、紅茶は老舗メーカーのものだったり、置いてあるものが一流品ばかりでびっくりした。
そんなことを思いながら席へ戻ると、電話が鳴っていた。
「はい、秘書課の高山です」
「受付の倉田です。副社長の妹さんがいらしております」
「分かりました。すぐ、そちらへ向かいます」
電話を置いて、エントランスへと向かった。そこには副社長と同じ黒髪の女性が立っていた。ジーンズにカットソーという姿で、大学生らしい雰囲気が漂っている。手には肩に掛けているバッグとは別に、小ぶりのトートバッグを持っていた。
「古賀樹里さんですね?」
「はい」
樹里さんは白い歯をのぞかせながら返事をした。若いなと思いつつ、話をつづけた。
「副社長の第二秘書を務めております、高山です。今、副社長は外出しておりまして」
手帳を閉じ、給湯室へと向かった。コップやお菓子の場所を確認するためだ。慣れない場所でお茶を入れると、意外と失敗する。これは私の教訓だ。使い慣れていない台所ほど、面倒なものはないと思う。
冷蔵庫の中、コップ類、ストローやおしぼり、お菓子の賞味期限などをチェックした。グラスが有名な食器メーカーのものだったり、紅茶は老舗メーカーのものだったり、置いてあるものが一流品ばかりでびっくりした。
そんなことを思いながら席へ戻ると、電話が鳴っていた。
「はい、秘書課の高山です」
「受付の倉田です。副社長の妹さんがいらしております」
「分かりました。すぐ、そちらへ向かいます」
電話を置いて、エントランスへと向かった。そこには副社長と同じ黒髪の女性が立っていた。ジーンズにカットソーという姿で、大学生らしい雰囲気が漂っている。手には肩に掛けているバッグとは別に、小ぶりのトートバッグを持っていた。
「古賀樹里さんですね?」
「はい」
樹里さんは白い歯をのぞかせながら返事をした。若いなと思いつつ、話をつづけた。
「副社長の第二秘書を務めております、高山です。今、副社長は外出しておりまして」