ブーケ・リハーサル
「え~、教えてください!」
この年齢の子は恋愛話が好きだよねと、目をキラキラさせながら聞いてくる樹里さんを見て思う。
「どうして、そんなに聞きたいんですか?」
「今後の参考に。不誠実な男の人に引っかからないようにするために」
「なるほど。じゃあ、一つだけ教えますね。結婚したいくらい好きだよと言う男は結婚してくれません」
「なにそれ?」
樹里さんは訳がわからないという顔で、残ったアイスティーを飲み干した。
「今はわからなくても、もう少し年齢を重ねると分かりますよ。頭の隅にでも入れておいてください」
「ふーん。じゃあ、私、帰ります」
「では、下までお送りします」
樹里さんは帰り際に「忙しいときに話し相手になってくれてありがとぅございました。兄の事よろしくお願いします」と言った。しっかりした子だなと思いながら、彼女の背中を見送った。
副社長は今日も定時までに会社に戻ってくることはなかった。樹里さんから預かったトートバックに“樹里さんからお渡しするように頼まれたものです。高山”と書いたメモを付けて、副社長のデスクの上に置いておいた。
この年齢の子は恋愛話が好きだよねと、目をキラキラさせながら聞いてくる樹里さんを見て思う。
「どうして、そんなに聞きたいんですか?」
「今後の参考に。不誠実な男の人に引っかからないようにするために」
「なるほど。じゃあ、一つだけ教えますね。結婚したいくらい好きだよと言う男は結婚してくれません」
「なにそれ?」
樹里さんは訳がわからないという顔で、残ったアイスティーを飲み干した。
「今はわからなくても、もう少し年齢を重ねると分かりますよ。頭の隅にでも入れておいてください」
「ふーん。じゃあ、私、帰ります」
「では、下までお送りします」
樹里さんは帰り際に「忙しいときに話し相手になってくれてありがとぅございました。兄の事よろしくお願いします」と言った。しっかりした子だなと思いながら、彼女の背中を見送った。
副社長は今日も定時までに会社に戻ってくることはなかった。樹里さんから預かったトートバックに“樹里さんからお渡しするように頼まれたものです。高山”と書いたメモを付けて、副社長のデスクの上に置いておいた。