ブーケ・リハーサル
人生で初めてハンカチーフを身に着けている男性に出会った。紳士服売り場で目にするが、これを身に着ける人が現実いるのだろうか、といつも思っていた。これはドラマや映画など、芸能人が身に着けるものというイメージが強かったからだ。それを嫌味なく身に着け、似合っているからすごい。
黒髪を軽く整え、切れ長の目に、シルバーフレームのメガネ。これはモテるだろうな、と思った。
「初めまして。副社長の第一秘書の田中です。どうぞよろしくお願いいたします」
「はい。よろしくお願いいたします」
挨拶が終えると、二人は秘書室を通り抜け、奥にある副社長室へと入っていた。
「大丈夫ですか? 少し緊張してたみたいですけど」と佐々木課長が言った。
「はい。前の職場では社長や副社長といった方々にお会いするようなことはなかったので、緊張しました」
「そんなに硬くならず、普通に接すれば大丈夫です。すぐに慣れますよ」
「はい」
それぞれデスクに戻り、それぞれの仕事を続ける。宛名を書きながら、書道を習っていてよかったと思った。
子供のころは書道が嫌いで仕方なかった。なぜ、伝える手段である文字にここまで拘らないといけないんだ、と思っていたからだ。
年齢を重ねると何事も汚いより綺麗なほうがいいということを、いろいろな局面で経験した。今現在も書道の有難みを感じている真っ最中だ。
黒髪を軽く整え、切れ長の目に、シルバーフレームのメガネ。これはモテるだろうな、と思った。
「初めまして。副社長の第一秘書の田中です。どうぞよろしくお願いいたします」
「はい。よろしくお願いいたします」
挨拶が終えると、二人は秘書室を通り抜け、奥にある副社長室へと入っていた。
「大丈夫ですか? 少し緊張してたみたいですけど」と佐々木課長が言った。
「はい。前の職場では社長や副社長といった方々にお会いするようなことはなかったので、緊張しました」
「そんなに硬くならず、普通に接すれば大丈夫です。すぐに慣れますよ」
「はい」
それぞれデスクに戻り、それぞれの仕事を続ける。宛名を書きながら、書道を習っていてよかったと思った。
子供のころは書道が嫌いで仕方なかった。なぜ、伝える手段である文字にここまで拘らないといけないんだ、と思っていたからだ。
年齢を重ねると何事も汚いより綺麗なほうがいいということを、いろいろな局面で経験した。今現在も書道の有難みを感じている真っ最中だ。