ONLY YOU~愛さずにはいられない~(完)
《17》ヴァージニティー
「まぁ…赤ちゃんは天からの授かり物だからな…なぁー柊」

「あ…はい…社長の言葉は御尤もです」

元総理は私達を見つめ、『二人揃ってるし、少し話をしよう』と言われ、そのまま院内の食堂でランチを共にした。

元総理を目の前に私は緊張した。

「そう緊張するなよ…璃愛」

「でも・・・」

「君は康秋の大事な見合いに乗り込み、破談に追い込んだ。後始末はこの私と副頭取で済ませたが・・・早急に伊集院家としては体面を保つ為、二人の結婚を進めたい」

「はい…」

「間宮さん、君の家に挨拶に伺いたいのだが…」

「元総理が!!?」

私は隣に座る康秋さんを見つめていると彼が口を開いた。

「俺の父は君も知っての通り十年前に事故死、母も二年前に癌で亡くなっているんだ。だから、俺の親代わりなんだ…敦司さんは…」

元総理が康秋さんの親代わり。

「初めて訊きました」

「・・・今回は残念だったが…子供は結婚してからゆっくり考えなさい」

元総理の顔が康秋さんよりも寂しそうなのはどうして?


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