ONLY YOU~愛さずにはいられない~(完)
陽那さんも表立って言わないけど、康秋さんが敦司さんの息子だと知っていた。

敦司さんは陽那さんの尻に敷かれているような雰囲気。夫婦の力の関係を垣間見たような気がした。

控室を出てチャペルに移動。
チャペル前ではモーニング姿の敦司さんが私の到着を待って居た。
敦司さんが私の父親代わりとして、共にヴァージンロードを歩く。

母は涙ぐみながらベールダウン。

私は重い心臓病で、心臓移植でしか助からない命だった。

香波さんの心臓が移植されなければ…多分生きてなかった。

敦司さんが私にそっと腕を差し出した。私は敦司さんの腕を掴む。

扉が開かれ、その向こうには白い大理石のヴァージンロード。
その先には十字架と三面の全面硝子。硝子越しに見えるのは緑の芝生と青い空と穏やかな海。

敦司さんは身重の私を気遣い、スローな歩調でヴァージンロードを歩く。



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