ONLY YOU~愛さずにはいられない~(完)
三人で元『スターファイブ』のヒジリの映画を鑑賞する。
内容は事故で死んだはずの恋人が同時刻に亡くなった女性のカラダに魂が入り込み、再び彼の前に姿を現し、伝えられなかった想いを告げて、天国に旅立っていくという半分ファンタジーの入った恋愛映画。

ハピエンではなかったけど、ヒジリの切ない演技に私は涙した。

「私…こういう切ない話…ダメなの…」
私は持っていたハンカチで涙を拭く。

「俺もダメだ・・・」

伊集院さんの方が映画に感情移入し過ぎて、号泣していた。

架空の話だと割り切っている彩華の素面だった。


「ヒジリに観てくれと言われて貰ったチケットだけど…めちゃくちゃいい映画だった…」


オフィスではクールは伊集院さん。
プライベートでは表情も豊かで、言葉遣いも結構粗野な話し方だった。

「そろそろ出ないと…璃愛」
「そ、そうね・・・」

いつの間には周囲は誰も居なくて、アルバイトの人達が次の上映に向けた館内を掃除していた。

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