あなたしか愛せない~皐月お兄ちゃん編~
神戸に追いつくと、一緒にタクシーに乗った。
「皐月」
「あー?」
やばい、本当に飲み過ぎた。
「皐月って学校で生徒にモテてるよね?」
「そんなわけないだろ…体育教師で生徒指導だから嫌われてるよ」
神戸がさっきから何かを気にしているのはわかるが、頭が回らない。
「まぁ、生徒指導って嫌われ役だしね」
「そうそう。わり…ちょっと寝ていいか?」
「えぇ、もちろん」
「神戸の家に着いたら起こして…」
酔いも回り、眠ってしまった。
「…じゃあ、さっき何であんなに動揺したの?皐月」
深い眠りについた俺に、神戸の声は聞こえなかった。