あなたしか愛せない~皐月お兄ちゃん編~
「そっか。じゃあ、私と付き合ってくれる?」
「…は?」
神戸の突然の告白に茫然としてしまう。
「私、大学の時から皐月が好きだったの。今付き合ってる人いないなら、私と付き合ってよ」
神戸の手が二の腕に触れる。
ふわっと香ってくる、甘い香水の香りー…
同じように時間が過ぎ、同じものを見ている同年代の女ー…
俺は、こういう女と付き合うべきなんだ。
「…あぁ」
「ほんと!?」
「…お前こそ俺でいいのか?」
「もちろん!嬉しい」
二の腕に触れていた手が頬に触れ、神戸の顔が近づいてくる。
「ここでか?」
「個室なんだし、いいじゃない…」
甘ったるい声が耳元で囁かれる。
「…そうだな」
「ふふふ」
瞼を閉じて見えたのは、夏帆の顔。
¨他の女の人のとこにいかないで¨
芯の強い目で俺を見ている。
けど俺はもう、その目と目を合わせることができない。