あなたしか愛せない~皐月お兄ちゃん編~




夏帆の合格発表の日。



「皐月お兄ちゃん、どうしよう…落ちちゃった…」


大泣きして夏帆が家まで来た。


「…そうか。併願で他にも受けてるんだろ?そっちが受かれば…」

夏帆には申し訳ないが、正直ほっとした自分がいた。

同じ学校で一緒に過ごすのはー…

「皐月お兄ちゃんと同じ学校じゃないと意味ないもん!!!!」

「!」

大きな声で泣き叫んだ、夏帆。

「…夏帆」

「ふ…うわーん」


泣き叫ぶ夏帆に、ただ頭を撫でてやることしかできなかった。








後日、併願で受けていた高校に受かったと聞いた。

夏帆はあまり嬉しそうではなかったが、良かったなとだけ声を掛けた。


それ以上の言葉は思いつかなかった。


受験も終わったから、そろそろ夏帆に伝えなきゃいけない。





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