あなたしか愛せない~皐月お兄ちゃん編~
「え!?夏帆ちゃん!!うそ…どうしよう」
神戸が慌てて離れた。
「!?」
夏帆ー?
振り返るとそこにいたのは、夏帆。
何も言わず、黙ったまま立っている。
「…夏帆」
そう名前を呼ぶと、目が合った。
表情からは、何も読み取れない。
何か言わなきゃいけないのに、言葉が見つからない。
しばらくすると、夏帆の目から大粒の涙が溢れ出てきた。
「!」
声も出さず、涙だけが頬を伝い流れ落ちて行く。
「夏帆…」
その泣き方に驚いた。