あなたしか愛せない~皐月お兄ちゃん編~
「な…何しにきたの?」
夏帆と会うのは、あの日以来だ。
じっと見つめるが、夏帆は視線を逸らす。
「…神戸先生が気にしてたから」
横顔からでもわかる、泣きはらした顔。
こんなに泣かせてしまった。
「出て行って…出て行ってよ!!!!!」
大きな声で叫んだ夏帆の目からは、涙が溢れ出ている。
「夏帆…」
「名前を呼ばないで!!!」
また泣かせてしまった。
もう傷つけないと決めたのに。