あなたしか愛せない~皐月お兄ちゃん編~
「「お疲れ様ー!!」」
今日は年に一回の同期会。
ここにいる全員が教師をしている。
悩みや愚痴も共感できるものが多く、日頃のストレス発散ができる。
「皐月」
「神戸…久しぶり」
神戸 美雪(かんべ みゆき)
高校教師をしている。
「皐月、卒業してから一回も連絡くれないわね」
「忙しくて…」
「それはお互い様よ。たまには、二人で呑もうよ」
「あぁ。そうだな」
「約束よ」
そう言うと、神戸は小指を出してきた。
「…」
その小指を懐かしく見てしまう。
¨指切りげんまんね!絶対、皐月お兄ちゃんと結婚する!!¨
夏帆は満面の笑みで言ったんだっけー…
あの時は10歳だろ?もう忘れてるよなー…
「皐月!」
「え…あ…」
「もう酔ったの?ほら、指切りげんまん」
「…あぁ。いや…子供じゃないんだから、約束は守るよ」
そう言い、指を絡ませることはしなかった。
自分でも驚いたが、あの思い出を上書きしたくなかった。