ずっと前にね
六章・相談

私には真似出来ない

何かを教えるってけっこう大変なんだな。柏崎先生の実家のお手伝いをさせてもらって、4ヶ月。まだまだ分からない事ばかりで柏崎先生に相談しないとやっていけない。教わりに来てくれている子も夏休みに入っていつもより多いし、体と頭が追い付かなくてミスも多くなってしまっている。
生徒たちにからかわれるし、柏崎先生のお母さんには微笑ましいって笑われるし。お姉さんにはそんなにミスしているのによく挫けず続けるわって感心されちゃうし、私の祖父母には楽しそうって安心されちゃうし。柏崎先生以外、相談できるような人がいない。

「また悩み事か?」

今起きましたというような表情であくびをしながら扉にもたれ掛かる先生。先生の何気無い仕草に不意を突かれて、身も心も死んでしまいそう。これが無意識でやっているって言うんだから余計困る。

「柏崎先生・・・、おはようございます・・・」
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