ずっと前にね
拍子抜けしたような表情で隣の椅子に座る柏崎先生。義父と兄の事を思い出してしまい、少し距離を取ってしまった。すると、気が付いたように少し遠ざけてくれた。

「あ、悪い」

申し訳ない事しちゃったな。絶対、感じ悪いって思われたよね。どうしよう。今度こそ本当に嫌われちゃうのかな。嫌われちゃったのかな。

「コードとか押さえ方の説明が上手く出来なくて・・・」

共感してくれる部分があったのかな。柏崎先生はなるほどと言いたげな表情で一緒に悩んでくれた。
柏崎先生のお母さんに相談した方が分かるんじゃないかと言っておきながら、何とかなると言われて終わりそうだからやめた方が良いとか。姉に相談してみたらとも言われたけれど、言い方きついからやっぱりやめた方が良いとか。提案しては撤回しての繰り返しだった。
< 102 / 260 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop