ずっと前にね
自分が心の闇に気付いてあげられなかったからだと泣いてほしくない。自分のせいだと謝ってほしくない。頭を下げてほしくない。

「これ以上、島ちゃんに関わるな。本気で許さねぇぞ」

冷めた目で俺を見るあいつ。ほら、だから言っただろ。あいつは人の事をゴミでも見るような目でしか見ないんだ。島ちゃんを愛して近寄っているなんて考えが過る方がおかしいんだ。
俺は殴りたくて力が入っている拳をギュッと握って堪えていた。殴りたい。今すぐに殴りたいけれど彼女の涙は絶対に見たくない。
俺のせいで流させてしまった涙なら尚更、見たくない。流させたくない。島ちゃんには笑顔が似合っているんだ。一番可愛いんだ。こんな奴のせいで流させてたまるかよ。

「やってみろ。俺はあいつから絶対に離れねぇ」
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