ずっと前にね
「違ったのか。なら俺の部屋に連れ込んでよろしくすれば良かったな」

俺は千里に近付く古川の胸ぐらを掴み、頬を1発殴った。いや、ぶっ飛んだ後にも殴っていたから5発、6発は殴っていたかもしれない。いや、それで済んでいたら嬉しいな。何せ、正気ではなかったから何がどうなっていたのかなんて覚えてない。
聞かれていなくても、例え寝ていて分からなかったとしても。彼女を犯そうとした事には変わらない。傷付けて、恐怖をまた植え付けようとした事には変わらない。
もし、彼女が起きるタイミングを失って目を閉じているだけだったとしたらどうするつもりだったんだ。もし、彼女がぎりぎりの所で聞いてしまっていたとしたら。冗談だったとしても、俺はお前を許さないからな。やっと心から笑えるようになった彼女をまた悲しみでしかない日々に戻ってほしくないんだ。

「柏崎先生!」

古川から反撃の1発が飛んでくる。
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