ずっと前にね
誰かっ!そう目をつぶって強く願った時だった。怖いはずの腕の中にとっても落ち着く腕が頭に手を置いて私を包んでいてくれたのは。

「お客様ー。俺の女に何してんだ。何も買わないなら消えろ」

柏崎先生だった。タオルを頭に巻いているからなのか、いつもより目付きが怖くて迫力も上がっていたからかもしれない。私を連れていこうとした男の人たちの腕は私から離れていった。

「邪魔。俺のダチに何してんの」

柏崎先生に助けられた事で安心しているとたけちゃんが男の人たちとの間に割って入ってくれた。でも、目の前にいた人のネックレスを掴んで顔を近付けていた。だから、その人に手が出てしまうんじゃないかと凄く不安だった。

「帰れよ。そこの女たちが相手してくれるってさ」
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