ずっと前にね
勘違いされていても嫌なんだよ。例えば、俺は恋人同士になりたい訳じゃない。両思いなんだ、片思いでも恋人になれる可能性があるんだと分かればそれでいい。なのに、恋人や夫婦まで行けたらと思っているなんて思われていても困るんだよ。嫌がらせに過ぎないんだよ。

「あのなぁ、俺は確かに島岡の事が異性として好きだ。それは否定しねぇ。でもなぁ、付き合いたいとか思ってねぇんだよ。そばにいれるなら友達だろうと元教師だろうと何でも良いんだ。分かったか」

いい加減にしろ。質問攻めに少し疲れ、呆れていた俺は言おうと思っていなかった事まで伝えてしまった。俺がどういう立場で千里といたいのか。俺が千里をどう思っているのか。
彼女が同じ部屋にいる事も忘れ、感情のままに思った事を言ってしまった。時すでに遅し。そうなっていたらと思うと彼女が眠っているのかも確認できなかった。健たちの表情で、彼女に聞かれてしまったのかを察するしかない。
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