ずっと前にね
私がお願いした通り、神社に立ち寄ってくれた。けれど、柏崎先生が誰を思っているのかが気になって仕方なかった。もちろん、あの男の人が生きて幸せになれますようにとお願いしたけれど他の人の幸せを願っている場合なのだろうか。自分の恋すら実らせる事が出来ていないのに、あの男の人の幸せを叶えてくれるだろうか。

「仕事、辛いなら休んでも良いんだぞ?」

人が目の前で刺された。それだけで精神的に結構きていた。出来れば誰にも会いたくないし、話したくもない。そんな私の気持ちを分かっているのに、私の恋心に気付いていないはずがない。龍人くんの言っていた通り、弄ばれているのかな。

「ありがとうございます。でも、大丈夫です」

私は首を横に振って、出来る限り笑顔でいた。柏崎先生には無理して笑っているんだとバレる事は分かっていた。でも、そうせずにはいられなかった。
< 225 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop