ずっと前にね
きっと全てなんだ。全て信じたくないんだ。期待を失うのも、完全に否定されるのも全て怖いんだ。彼女の発するかもしれない言葉、全てが嫌なんだ。
はい、私も好きですなんて言ってくれる訳がないから。お世辞でも、出任せでも有り得ない言葉だから。俺を友達以上として好きになってくれているはずがないから。
それでも俺が傷付く事で彼女が笑顔になれるならと何度も言おうとするけれど、後一歩の所で喉につかえてしまう。理由は俺の勇気が足りないからだって分かっているんだ。
真実を受け入れるだけの強さが俺にない。そのせいで愛する人、たった一人満足に笑顔にしてあげる事も出来ない。
情けないだろう。こんなに小さくて細くてか弱い彼女すら、笑顔にしてあげる事も出来ないんだぜ。彼女より何倍も大きく、強い体の俺がだぜ。
本当に笑っちゃうよな。情けなさ過ぎて涙も流れる気分だ。こんな大きな体の俺が小さな体の千里に逆に守られているなんて惨めだろう。俺からは何も出来ていないのに守ってくれているんだ。
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