ずっと前にね
真っ直ぐ見つめてくる彼女の瞳と目が合い、やっと理解できた。彼女は俺を嫌っていたから泣いた訳ではなかったんだ。告白が嫌で泣いた訳ではなかったんだ。

「良いのか・・・?俺が・・・、恋人になっても・・・?」

俺の事を好いていてくれたんだ。俺が嫌われていると勝手に決め付けていただけだったんだ。
何度も頷く彼女を一瞬、信じられなくなった。だって、まさか両思いだったなんて誰が予想できたんだ。俺たちはただの教師と生徒から始まって、最近になってやっと友達になれたようなもんなんだぞ。なのに、そんな恋の相手とまさか恋人になれるなんてあるわけがないって思っていたのに。

「・・・」

二人で顔を見合わせた。俺も千里もこうなるとは思っていなかった。何でって、都合の良い夢でも見ているのかってそんな気分だった。
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