ずっと前にね
その内、プライベートの事で柏崎先生と会えなくなってしまうのかもしれない。そして、また私は独りになってしまうのかもしれない。でも、自分が独りになってしまうというより柏崎先生が私だけに向けてくれる笑顔が見れなくなる事が残念に思えた。

「ならカシザキが弾けよ」

「俺はドラムとピアノしか弾けねーよ」

「なら津田か畑山がカシザキと代わってギター弾け」

「無理言うなって」

強引にもう一人のギター担当を捜そうとする唯野くんに諦めさせようとする柏崎先生。申し訳無いとは思うけれど、我が儘を言っている幼い子供を構っているような柏崎先生の対応に笑ってしまった。
最初は目尻が下がって口許がにやけるだけだった。けれど会話が進むに連れてツボに入ってしまい、声を出して笑わずにはいられなくなってしまっていた。
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