ずっと前にね
「言ってくだされば自分で持ってきましたよ・・・」

ギターのチューニングをして音を合わせながら呆れる彼女。どんな表情でも可愛く思えてしまうのは元々、彼女の顔が可愛いからなのか。それとも俺が彼女に恋をしているからなのか。

「ごめんなー？伝え忘れて」

ただ今はどんな表情でも、どんな言葉でも愛おしい。このまま、時間が流れている事なんて忘れてずっと彼女を見つめていたかった。でも、それは二人っきりだから出来る事。隼人のいる今は変な勘違いをされて嫌な噂が立たぬよう、少し距離を置かなければ。

「次は許しませんからねぇ？」

俺の目を見て、困ったように笑う彼女に隼人もときめいているのだろうか。その事実があれば俺は嫉妬せずにはいられないだろう。
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