ずっと前にね
教師と言えど俺も一人の人間で、一人の男だ。好きな人にフラれたり、誘いを断られたり、存在を嫌われたりされたくはない。ずっと好かれていたい。
そのための距離感が今の距離感だ。友達のような、ただの教師と生徒のような。曖昧な不思議な距離感が不意に犯したいと思ってしまう俺を制御し、好いてくれるような大人でいれているんだ。
きっとこれ以上離れていたら寂しくて物足りないと仕事に支障が出るほど彼女の事を考えているのだろう。でも、これ以上近ければ受け入れてくれるだろうという勝手な軽い解釈をして体を求めるようになるのかもしれない。
今も変な人だと思われているのにこれ以上変な人だとは思われたくないからな。自分を抑えられなくて彼女を傷付けてしまうのであれば俺はこのまま、付かず離れずの間で苦しみたい。
俺にとって彼女に嫌われるという事は自分が苦しむより辛い事なんだ。その事を考えれば俺が苦しむなんて容易い。お安いご用だ。彼女に嫌われないのであれば、どんな苦しみでも耐え抜いてみせるさ。
< 54 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop