ずっと前にね

私がそんな毎日を送っているのだと知っている化学の教師で部活の顧問、柏崎先生は手を伸ばしてもぎりぎり届かない場所に腰を下ろして一緒に地平線を見つめていた。たまたま部活があるからと言って家から出る所を見つかってしまい、どうしてと追求されてしまったのだ。

「部活は無いはずだが？」

「あ・・・っ、えとっ・・・。・・・」

「いつもこうやって嘘を吐いているのか」

まだ少し暑い秋。素直に頷いてしまった私に柏崎先生はため息を吐いた。そして、私には痛くて優しい言葉をくれた。

「嫌だったり、違っていたりしたら悪い。強姦にあった事やそのせいでクラスに馴染めない事を祖父母に知られたくないなら、これからは俺を理由に家を出ろ。存在しない物を並べていたらその内バレる」

「先生を・・・理由に・・・？」