ずっと前にね

事実を知った祖父母は痛々しいくらい私に謝っては償いをしたいと言ってくるけれど、祖父母にそんな事を望んでなんていない。だから、私は卒業後もこのまま祖父母の家にお世話になっても良いかとお願いしたんだ。昔みたいに楽しく3人で生きていく。普通に生きていく事が償いだと思ってほしいと。

「あれからどうだ？大丈夫か？」

義父と兄の事件を聞いて、前の高校で私を襲った教師がこの町に私を訪ねてきた事があった。恐怖のあまり、動けなくなっている所を柏崎先生が助けてくれて警察に突き出してくれたんだよね。
その時の先生の言葉、嬉しかったな。嘘だって、咄嗟に言ってしまっただけだって言うのは分かってる。でも、本当にそうなりたいって思っている私からしたら嘘でも嬉しいんだ。

「俺の女に手を出すな、ですか？」

笑う私に焦る先生。