ずっと前にね
困ったように笑う柏崎先生が可愛かった。あの状況を誰かに見られたり聞かれたりしていれば、今頃隣に立っていなかったんだよね。こうやって二人で笑い合う事もなかったんだよね。

「私は大丈夫です。柏崎先生も私にそんな言葉を使ってなくて良いから早く良い人見付けてください」

このまま、見つからなければ良いのに。心の中ではこのままずっと一人身で私の事を考えてくれていたら良いなんて思ってしまっていた。図々しい話だって言うのは分かっているのに。

「嫌だ」

バンドの演奏でよく聞こえなかった。ボソッと何かを呟いた事は分かったけれど何て言ったのだろう。本当に早く見つけなきゃとかやる気にさせちゃったかな。
やる気になんてならなくて良いよ。このまま、生徒や友達としてでも良いから私だけを見ていてよ。
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