ずっと前にね
聞いてはいけない気がした。今の千里にこの質問をしてはいけないと何かが俺に忠告していた。
恋人は作らないのか。乗り越えようと頑張っている千里には恋人なんて夢のまた夢。下手したら作りたい処か汚らわしいから作りたくもないと思っているかもしれない。なのに、それを分かっているのに俺がそう訊いてどうするんだよ。
今の千里にとってそれどころではない事くらい分かってんだろ。分かっているのに訊いてみたいだなんて思うなんて情けねぇな、俺。

「どうかしましたか？」

不思議そうに上目遣いで見てくる表情にやられた。そんな顔されたら嘘なんて吐く気になれない。それどころか、嘘を吐いたらバチが当たる気がしてならない。
ダメだ。俺はどうしたら良いんだ。どうしたら俺はこの高鳴る気持ちを抑える事が出来るんだ。方法があるなら今すぐに教えてくれ。じゃないと俺は俺を止められなくなってしまうかもしれないんだ。
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