誠の華−ヒルガオ−
「はい、分かりました。なんて簡単に引き下がると思った?私だって江戸を飛び出した時点でそれなりの覚悟を持って来てるのよ」
「そりゃ凄いな。だが生憎ここは女人禁制。そんなに刀を振り回したきゃ他を当たれ」
歳さんの冷たい言葉に心が折れそうになるがグッと唇を噛み締めて前を見据えた。
「刀を振り回しに来たんじゃない。私は、私の志を掲げて上京した。女だって捨てて来てるの。もう私は女じゃない」
「いくら見た目を変えたからと言ってお前の中身、力は所詮女。確かに剣の腕は幹部並みだがどこかで女特有の弱みが出るはずだ」
「"はず"って飽く迄も可能性の問題でしょう?そんなもの誰にも悟らせない。それに……私ならそれを武器に変えられる」
ニヤッと片方の口角を上げて挑発するように歳さんを見上げる。