誠の華−ヒルガオ−



「…高杉殿、確かに私はまだ戦を経験したことのない若造でございます。しかしながら考えなしの提案では決してござらぬことはご理解頂きたい!!」


中山の静かな怒りを鼻で笑いながら酒を飲み干した高杉は空になった猪口を私に無言で突き出す。


話に聞き入っていた私は一瞬男の行動がわからなかったが、頭で揺れる簪のシャランという音で自信が今は芸妓なのだという事を思い出し、慌ててお酒を注いだ。


「久坂、お前もお前だ。分かるだろう、こんな計画、うまくいくはずがないんだ!!これが偽勅だとバレた暁にはどうなるかわかるだろう!!俺はこれ以上部下は犬死させねえって決めたんだ。お前らのお遊びなんかに付き合ってらんねえな!!」


「高杉、お前は私がいながらこの計画が失敗すると思っているのか」



今までずっと黙っていた男が怒気の篭った声で高杉に言う。


「おぉ、そう言えばこれは三条が企んだものだったな。俺は協力しねえぞこんな馬鹿らしい計画、俺の志が汚れる」


「晋作、言葉遣いを考えろっといつも言っているだろう!!だが三条、私もこの計画には反対だ。悪いが協力はできない」



「左様ですか。桂さんからの協力が得られないのは想定外ですが、まぁ良いでしょう。私は誰がなんと言おうとこの計画は実行しますから」



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