誠の華−ヒルガオ−
古高が助けてくれたお陰でなんとか岡田と呼ばれた男から逃れられたが全く油断できないな。
変な汗をかいた。
「新雪さん、悪気がないのは分かっているが気をつけなさい。世の中には知らない方がいいこともあるんだ」
「…堪忍どっせ……」
桂の有無を言わせない叱責に少し反省の素振りを見せる。
なかなか手強いな。
私自ら情報を炙り出す事は出来なさそう。
ならばどうするか。
大人しく収穫できる情報のみを得るのか、口の軽そうな坂本を別室へ誘き出すか…。
後者であれば岡田、と呼ばれた男が付いてくる可能性がある。
なら少し新撰組の情報を出してみるか。
こちらの不利にならない情報を少し出せば信用を得られるかもしれない。
「あの…あちき、先日新撰組の接待をさせてもろてん。そこで最近捕らえた者達が原因で新撰組の幹部の皆様方で揉め事が起こったと土方言う男はんが言っていたでありんす」
「最近捕らえた者達なら…凛達に違いない。おい、新雪!土方から凛と言う女の名は出なかったのか?!」
ふふ、乗ってきた乗ってきた。
初めて吉田自らが私を視界に入れたことが嬉しくて上がってしまいそうになる口角を必死に隠す。