誠の華−ヒルガオ−
「へぇ、確かにおりました」
そう言うと吉田は僅かに口角を上げた。
「これは好都合だ。奴らが揉め事を起こしているうちに屯所を襲撃してしまえば新撰組は壊滅する」
高笑いを上げる吉田に不快感が胸を襲う。
こんな奴に私達が負けてたまるものか。
こんな姑息な真似をする下郎なんか新撰組の足元にも及ばない。
真っ黒いものに支配されかけていると、複数の視線に気が付いた。
一つは高杉、一つは岡田。
高杉は何かを探るような、また面白がるような視線を送られるが岡田は違う。
室内をも痺れさせる程の強烈な殺意が出てる。
間違いない、岡田は何かに気づいた。
「なぁ、新雪。坂本ばかりじゃなく俺にも酌をしてくれよ」
高杉に言われ断る理由もないので徳利を持って大人しく側へ寄った。
トクトクとお酒を注いでる間も高杉の視線に絡め取られて僅かに手が震えてしまった。
「何だ新雪、俺が怖いのか?」
「…まさか。あちきがなぜ高杉様を怖がるんでありんしょう?」
「……ふっ、それもそうだな。新雪、折角だ。俺が三味線を弾いてやるから一曲舞ってくれ」
今、なんと。