誠の華−ヒルガオ−
私に舞えと?
三日しか練習をしてないんですけど。
しかしここで断れば確実に怪しまれる。
「あちき、先日足首を捻ってしまったさかい上手く踊れまへんがよろしおすか?」
「あぁ構わない」
私は構う!!!
女子には優しい古高は止めに入らないのか、と視線を送るがニコニコと笑みを浮かべていた。
左様でございますか。
私の味方は一人もいないのでありんすね。
畜生、やるしかない。
「 いつも見たいは、君と盃と春の初花
あら何ともなの、うき世やの
いとど名の立つ秋風に、誰そよ妻戸を きりぎりす
海松布(みるめ)海松布を取り取るとて、 様がやつるる
愛は誓うて添ひはせで、月よ花よと見たば かり
つれなかれかしなかなかに、つれなかれかし」
高杉の唄に合わせて何とか舞うが私にはどうも風に揺れる柳にしか見えない。
恥ずかしすぎて面を上げられぬまま何とか終える。
暫く静寂が漂うとクスクスと笑いを噛み殺したような声が複数聞こえる。